入社式

入社式当日の朝、玄関に集合して人事の人が点呼を始めました。ところがいつまで経っても私の名前は呼ばれず点呼が終了しました。人事の人に聞いてみると「高校からの方ですか?」と言われ、高専から来たと答えると、もう一人の高専卒と思われる人と列の先頭に並ぶことになりました。人事の人に案内され迎賓館がある工場の正門付近に来ると先頭の私たち二人だけ、そのまま、目の前にあるプレハブに向かって進むように言われて、人事の人と大学卒の人達は迎賓館の方に行ってしまいました。

 言われた方向に進むと面接の時に案内してくれた人が迎えてくださり、プレハブの最上階に案内してもらいました。そこが私たち高専高卒新入社員の入社式の会場でした。大学卒本社採用の人達は迎賓館で社長達の出席する盛大な入社式が行われ、高専高卒事業所採用は、事業所の幹部が出席するやや小規模な入社式で、入社式早々大学卒との格差を思い知らされました。

 中学の時はそれなりに勉強ができて高専に入って大学卒に劣らない専門知識を身に着けたはずなのに社会に出てみると事業所地元の工業高校卒と一括りに扱われる現実にショックを受けて、入社式を迎えて晴れやかな気持ちは全くありませんでした。大学編入してたった2年大学に行くか行かないかだけでこんなにも住む世界が変わるのかと思うと後悔の気持ちでいっぱいになりました。

 入社式を終えると、写真撮影やその他の説明など一連の手続きを済ませ、入社初日が終わりました。