研究テーマ選びでの失敗談

就職活動が始まろうとしている高専5年生の春、研究室への配属決めもありました。高専では5年生になると各教員それぞれの研究室に配属され、そこで各自に与えられた研究テーマについて1年間卒業研究に取り組みます。

 研究テーマのリストが教室に張り出され、自分が希望する研究テーマのところに名前を書きます。希望が被ると成績が下位の人が落とされます。一方で早いもの勝ちという空気もあり、先に誰かが名前を書いていると後から名前を書きずらいものでした。

 私の成績は40人中20番くらいと微妙なもの、しかし、先に書いてしまえば他の人は書きづらいだろうし、仮に競合しても半分の人には勝てるという謎の自信があり、自分より成績上位の人たちの動向を調べたりすることなく、興味があった「ロボットハンド」についての研究テーマ(定員2名)のところに名前を書きました。

 しかしその後、成績順位一桁台の2人がそこに名前を書いたことで、あえなく私は蹴落とされてしまいました。その時点でほとんどの研究テーマは誰かが名前を書いている状態でした。そこで、私は同じく興味があったロボット関係の研究テーマの所に名前を書きました。すでにそこには1人名前を書いているのですが成績順では勝てる状況でした。しかし、その人はクラスでもいわゆる一軍である人気者。私の所に来て「それはおかしいやろ」的なことを言われ、クラスでも影が薄く、押し通せる道理もない私は何も言い返せずあえなく断念しました。

 もう残っているのは断トツで不人気だった研究室だけでした。そこは、成績最下位層が行くところでしたが、行き場がない私はそこに行くしかありませんでした。

 今振り返って思うことは、自分の成績やクラスでの立ち位置といった身の程をわきまえずに他の人の動向を調べることなく、根拠のない自信に基づいて勢いで行動してしまった結果だと思います。